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この記事は結末の核心には触れず、あらすじと作品の魅力を紹介します。安心してお読みください。
2024年本屋大賞第3位、渡辺淳一文学賞受賞。そして2027年2月には西島秀俊さん主演で映画化も決まった、塩田武士さんの『存在のすべてを』。「話題になっているけど、どんな話?」「読む(聴く)か迷っている」という方に向けて、結末の核心には踏み込まずに、この作品の魅力を紹介します。
18時間の長編を、耳で
『存在のすべてを』はAudibleの聴き放題対象。
全18時間58分の重厚な長編ですが、蒼木智大さんの朗読なら通勤や家事の時間で少しずつ聴き進められます。
登場人物が多く時系列も前後する本作は、声で人物が描き分けられる朗読と相性抜群。
まだ会員でない方は無料体験で今すぐ聴けます(30日間無料・いつでも解約OK)。
『存在のすべてを』はどんな話?【ネタバレなし】
平成3年(1991年)、前代未聞の「二児同時誘拐事件」が発生します。ひとりは保護され、犯人は捕まらないまま事件は時効を迎えます。ところがもうひとりの被害男児は、失踪から3年後に、何事もなかったかのように戻ってきました。しかも、いなくなる前よりも礼儀正しく、絵が驚くほど上手くなって——。
それから30年。当時警察を担当していた新聞記者・門田次郎は、旧知の刑事の死をきっかけに、その被害男児の「今」を知ります。彼は今、人気の写実画家になっていました。空白の3年間、彼は誰とどう過ごしたのか。なぜ本人も家族も、警察にもマスコミにも何も語らないのか。門田の再取材が、止まっていた時間を再び動かしていきます。
作品情報と受賞歴
- 著者:塩田武士(『罪の声』『騙し絵の牙』『歪んだ波紋』)
- 出版:朝日新聞出版・2023年9月刊(単行本約450ページ)
- 受賞:2024年本屋大賞第3位/第9回渡辺淳一文学賞/各種ミステリランキング入り
- 映画:2027年2月5日公開予定・西島秀俊主演
- オーディオブック:Audible聴き放題対象(蒼木智大さん朗読・全18時間58分)
主な登場人物
- 門田次郎…元・警察担当の新聞記者。細い手がかりから相手の信頼を得て、覚悟を持って隠された真実に近づいていく。本作の視点人物。
- 内藤亮…二児同時誘拐事件の被害男児。3年間の失踪を経て戻り、現在は人気の写実画家。空白の3年を語らない。
- 野本貴彦…物語の鍵を握る写実画家。亮の才能と深く関わる存在。
- 岸朔之介…画商界に影響力を持つ人物。
登場人物が多く、時代も現在と過去を行き来するため、人物の把握が物語を味わう鍵になります。この「人物の多さ・時系列の前後」こそ、後述する朗読で聴く利点にもつながります。
あらすじ【中盤まで・核心は伏せます】
※ここから中盤の展開に触れます(結末の核心は書きません)。
門田は、戻ってきた亮も、彼を育てた祖父母も、事情を知っているはずなのに誰も語らない、という壁にぶつかります。人が覚悟を持って隠し通そうとする謎を解くのは、上から問い詰めても不可能です。門田は出会う相手一人ひとりを丁寧に観察し、礼儀を尽くし、「話すべきは今なのでは」と相手自身に思わせていく——元新聞記者である著者・塩田武士さんの取材力が滲む、見事な人間ドラマが展開します。
再取材の糸をたどるうち、ひとりの写実画家の存在が浮かび上がります。空白の3年間、被害男児のそばに誰がいたのか。そこには、事件の表面だけを見ていては決して分からない事情と感情が隠されていました。派手なトリックで解く話ではありません。とても人間的な心の動きによって、社会を揺るがせた事件の謎が解かれていく——それが本作の核心です。
タイトル「存在のすべてを」の意味を考察
タイトルには複数の意味が重なっています。誘拐され、空白の3年間を経て写実画家となった被害男児自身の「存在」。そして、目に見えているのに気づかれない対象の本質を、絵筆で写し取ろうとする写実画家という営み。さらに、ある人物が別の誰かの「存在のすべてを」引き受けようとする、深い愛情。読み終えたとき、このタイトルが表現者としての、そして親子の約束の言葉のように響いてきます。核心は本編で確かめてほしい部分です。
『罪の声』とのつながり
塩田武士さんといえば、グリコ・森永事件をモチーフにした代表作『罪の声』。実は本作の主人公・門田も、『罪の声』と同じ「大日新聞」の記者です。未解決事件を記者が追い、事件そのものより「事件に巻き込まれた人々のその後」を丁寧に描く——この塩田フォーマットが両作に共通します。『罪の声』が事件の残酷さと家族の残像を描いたのに対し、『存在のすべてを』はより「家族とは何か」に踏み込んだ、いわばアンサーノベルのような一作。両方を聴き比べると、著者の作家性がより立体的に見えてきます。
長編を「聴く」という選択
本作は単行本で約450ページ、Audibleでは全18時間58分という重厚な長編です。「読む時間が取れない」と手が伸びづらい人ほど、実は朗読が向いています。通勤や家事の時間を積み重ねれば、数週間で自然に聴き終えられます。
さらに本作は登場人物が多く、現在と過去を行き来する構成のため、活字だと人物を見失いやすい面があります。その点、蒼木智大さんの朗読なら、声のトーンで人物が自然に区別され、複雑な人間関係もすっと頭に入ってきます。「一気に2回聴いた」という声もあるほど、耳で味わう没入感の高い作品です。Audibleの聴き放題対象なので、無料体験の範囲で最後まで聴けます。
映画版の情報【2027年2月5日公開・随時更新】
『存在のすべてを』は2027年2月5日に映画公開が予定されており、主演は西島秀俊さんです。塩田作品は『罪の声』『騙し絵の牙』がいずれも映像化されており、社会派ミステリーの映像化には定評があります。公開が近づくにつれ、キャストや詳細が発表されていくため、この見出しは随時更新します。映画の前に原作を聴いておくと、スクリーンでの再会がより深いものになります。
まとめ
『存在のすべてを』は、二児同時誘拐事件と「空白の3年間」の謎を、人間の心の動きで解き明かす、塩田武士さんの到達点です。結末の感動は、ぜひ本編で確かめてください。全18時間58分の長編を、耳でじっくり味わうAudibleは、この重厚な物語に最適な入口です。


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