「おいしいと思えるだけで、こんなにうれしいんだ。」
身近な「ごはん」と「家事」を通して、
大切な人を失った大人たちが、もう一度、自分の人生を立て直していく物語。
阿部暁子さんの『カフネ』は、
2025年本屋大賞受賞作であり、いまAudibleでも大人気のオーディオブックです。
この記事では、
- 『カフネ』ってどんな話なのか(ネタバレなしのあらすじ)
- 紙で読むのとAudible版の違い・聴き心地
- どんな気分のときに聴くと刺さるのか
を、Audibleで聴く前提でまとめていきます。
この記事でわかること
- 『カフネ』の基本情報(本屋大賞ほか受賞歴/あらすじ)
- Audible版『カフネ』のスペック(ナレーター・再生時間・聴き放題かどうか)
- テーマや読みどころ(「食べること」「家事代行」「喪失からの再出発」)
- どんな人におすすめか/どんなシーンで聴きたいか
結論:
「ちゃんと食べること」が、もう一度生き直すスタートラインになる
『カフネ』を一言でまとめると、
大切な人を亡くした大人たちが、
「食べること」「家事をすること」を通して、
もう一度、自分の人生を立て直していく物語
です。
- 号泣必至の悲恋もの、というよりは
→ じわじわ効いてくる“回復の物語” - でも、「家事代行」先の家庭ごとに
→ 仕事・家庭・介護・孤独などの現実的な悩みがちゃんと描かれる
ので、「優しいけど、ちゃんと痛い」ところもあります。
Audible版は、
- ナレーター:岸本百恵さん
- 再生時間:約10時間31分
- プレミアムプラン聴き放題対象(2025年12月時点)
なので、
「ここ最近ちょっとしんどい」「でも、誰かのドラマを聴きながら家事をしたい」
みたいなときに、数日かけて少しずつ聴くのがおすすめです。
基本情報(紙・電子&Audible)
書籍版
- タイトル:カフネ
- 著者:阿部暁子
- 出版社:講談社
- 刊行日:2024年5月22日(単行本)
- 主な受賞歴
- 第22回 2025年本屋大賞 大賞
- 第8回 未来屋小説大賞
- 第1回「あの本、読みました?大賞」 ほか
タイトルにもなっている「カフネ」は、ポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通すしぐさ」という意味。
作中では、
- 家事代行サービス会社の名前
- 誰かの暮らしにそっと触れる、というイメージ
の両方を重ね合わせるキーワードになっています。
Audible版
- タイトル:カフネ(Audible版・完全版)
- 著者:阿部暁子
- ナレーター:岸本百恵
- 再生時間:10時間31分
- 配信日:2025年4月9日
- ジャンル:文学・フィクション(現代小説)
- 対応プラン:プレミアムプラン聴き放題対象(単品価格:3,500円)
プレミアムプラン会員なら、月額1,500円の範囲内で追加料金なしで聴ける作品なので、
「本屋大賞作を耳で一気に追いかけたい」人にはかなりコスパの良い1本です。
あらすじ(ネタバレなし)
主人公は、30代の女性・野宮薫子。
- 法務局で真面目に働いているが、
- 私生活では離婚を経験し、
- 両親との関係もギクシャクしていて、正直かなり疲れている人です。
そんな薫子の一回り年下の弟・春彦が、
29歳の誕生日を祝ったすぐあとに、突然亡くなってしまう。
遺された遺言書には、
「元恋人の小野寺せつなに会ってほしい」
と書かれていて、薫子はしぶしぶ彼女に会いに行きます。
しかし、そこで出会った小野寺せつなは、
- 無愛想で、素っ気ない態度
- どうして弟が彼女を好きだったのか、薫子にはまったく分からない
というタイプ。
しかも、極限まで疲れていた薫子はその場で倒れてしまい、
せつなの部屋に運ばれ、久しぶりに「人の手料理」を食べることになります。
- 温かいごはん
- 出汁の香り
- 誰かが自分のために用意してくれた料理
それだけのことなのに、
薫子のこわばっていた心と身体が、少しずつほぐれていく。
やがてせつなは、薫子にこう提案します。
「うち、家事代行サービス『カフネ』っていう会社で働いてて。
よかったら、手伝ってみませんか?」
そこから物語は、
家事代行サービス「カフネ」の仕事を通して出会う人びとの物語へと広がっていきます。
- 仕事と家事でいっぱいいっぱいなシングルマザー
- パートナーの介護に追われる人
- ひとり暮らしで、食べる気力すらなくしている高齢者 など
薫子とせつなは、
- 掃除をし、
- 洗濯をし、
- ごはんを作り、
ときには相手の心のゴミも少しだけ片づけながら、
自分たちの喪失感や罪悪感とも向き合っていくことになります。
Audible版で聴く『カフネ』の聴き心地
岸本百恵さんの朗読が「地に足のついた優しさ」
ナレーターは声優・岸本百恵さん。
- ふわふわした「癒やしボイス」というよりは、
→ 現実を生きている大人の女性の声 - でも、怒りや悲しみを抱えつつも、
→ どこか「人に優しくしたい」と思っているニュアンスがちゃんと伝わってくる
というタイプの読み方で、
薫子目線の地の文と、せつなや依頼人たちの会話がすっと耳に入ってきます。
「泣かせにくる朗読」という感じではなく、
気づいたらじんわり涙腺がゆるんでいる
そんな距離感です。
ボリューム感とおすすめの聴き方
- 再生時間:10時間31分
Audibleだと、
- 1.2〜1.4倍速:読書慣れしている人向け。3〜4日で聴き終わるボリューム感
- 1.0〜1.2倍速:セリフの間や余韻を味わいたい人向け。1週間くらいかけてゆっくり聴くイメージ
がおすすめです。
1章ごとに“区切り”がつけやすい構成なので、
- 通勤・通学の往復
- 夕食の支度〜片づけ
- 寝る前の30〜40分
みたいな“生活のスキマ”に差し込むと、
ちょうどよく余韻を残したまま止められます。
テーマと読みどころ
1. 「ちゃんと食べる」が、人生を立て直す最初の一歩
『カフネ』の真ん中にあるのは、
「食べることは生きること」というテーマです。
- まともに料理をする気力がない
- コンビニやカップ麺でなんとなくお腹だけ満たしている
- 誰かと一緒に食卓を囲むことが、もうほとんどない
そんな人たちのところに、「カフネ」の二人がやってきて、
- キッチンを片づけ、
- 冷蔵庫の食材を確認し、
- その人の体調や好みに合わせて、ごはんを作る
だけで、部屋の空気も、その人の表情も少し変わっていくのが印象的です。
「『おいしい』って思えること自体が、
もう十分、希望なんだな」
と気づかされるシーンが多くて、
自分の食生活も、ちょっと見直したくなります。
2. 家事代行=「他人の生活に足を踏み入れる」仕事
家事代行の現場では、
- 「お客さん」の本音と建前
- 夫婦の間のもつれや、親子のわだかまり
- お金や健康、将来への不安
が、台所やリビングという超プライベートな空間で露わになります。
薫子とせつなも、
- 「ここまで踏み込んでいいのか?」
- 「でも、見てしまった以上は何かしたい」
という葛藤を抱えながら、
少しずつ“自分なりの距離感”を見つけていく。
- ただの「良い人」でもなく
- バッサリ正義を振りかざすタイプでもなく
不器用なまま、人と関わろうとする感じが、すごく今っぽいです。
3. 喪失と罪悪感、それでも続いていく日常
薫子とせつなの共通点は、
- 「春彦を失った」という喪失
- それぞれが抱える、自分なりの罪悪感
です。
物語の中盤以降、
二人の過去や春彦との関係が少しずつ明らかになっていきますが、
- 誰かひとりが悪いわけではない
- でも、どこかで少しずつズレてしまっていた
というリアルさがあって、「分かる……」と胸が痛くなる読者も多いはず。
そこから、
「それでも、明日も仕事に行って、ごはんを作って食べて、生きていくしかない」
という、小さな前進の感覚に着地していくのが、この作品の大きな魅力です。
どんな人におすすめ?(刺さる人/刺さらないかもしれない人)
刺さる人
- 家事・料理が好き/興味がある
- 「食べること」に救われた経験がある
- 最近ちょっと気持ちが落ち気味で、でも“優しい”物語が読みたい
- 本屋大賞作品が好きで、王道の“人間ドラマ”を味わいたい
- Audibleでじっくり10時間クラスの小説を聴いてみたい
もしかすると合わないかもしれない人
- 事件や謎解きがメインのサスペンスを期待している
- 語り口よりも、ストーリーの起伏の激しさを重視したい
- ドロドロした不倫劇や“胸クソ感”の強い物語が好き
『カフネ』は、
「静かだけど、地味ではない」
「優しいけれど、綺麗事ではない」
タイプの作品なので、
刺激より“余韻”や“温度”を楽しめる人向けです。
Audibleで聴くときのおすすめシーン
最後に、「こんなシーンで聴くとハマりやすいよ」という例をいくつか。
- 夕方〜夜のキッチンで
- ごはんを作りながら
- お皿を洗いながら
→ 「カフネ」の料理シーンと、自分の台所の匂いがリンクしてきます。
- 休日のブランチ時間に
- コーヒーを淹れて、
- 簡単なトーストやサンドイッチを用意して
→ 1〜2時間だけ、じっくり物語に浸るのもおすすめ。
- 通勤電車での行き帰りに
- 朝は、薫子たちの仕事に向かう空気感で自分もスイッチを入れて
- 夜は、家事代行先の人びとの生活を覗き見しながら、1日をクールダウン
まとめ
- 『カフネ』は、2025年本屋大賞受賞作の現代小説。
- 家事代行サービス「カフネ」を通じて、
- 大切な人を亡くした姉・薫子と
- 弟の元恋人・せつなが
「食べること」「暮らしを整えること」を通して再生していく物語です。
- Audible版は、
- ナレーター:岸本百恵さん
- 再生時間:10時間31分
- プレミアムプラン聴き放題対象(2025年12月時点)
「最近、ちゃんとごはん食べてないな…」
「誰かの生活にそっと寄り添う物語が聴きたい」


コメント